最後の診察・・・

手術後10年(正確には9年11ヶ月)、最後の術後診察に大学病院へ行った。
10年看る、と言われたときは先が長いと思ったが、経ってみればあっという間だった。


最初に来たときから景色は大きく変わった。
診察関係が集まった新館は建設中だったが、途中から新しいところへ移った。
表から見えていた入院病棟は影に隠れて見えなくなった。
クリスマスツリーが飾られ、ナイチンゲール像が見守る池が有った旧館は、先ず煙突が壊され、庭園も工事擁壁に囲われて無くなり、ここも新しくなった。
サッカー場があったグランドにも研究棟が立った。
CT装置があった地下室も、新しいところへ引っ越して3年経つ。
全てが新しくなった附属病院も、今日が見納めか。

ここの所通っている診療所と違って、受付開始時刻は早く、8時過ぎには早くもCTを撮り終えた。予約診察時刻は11時、あちこちのんびり廻って売店で朝食を買ってマッタリとする。
予約呼び出しのスマホ登録を済ませたが、どのくらい使う人がいるのだろう、役に立ったためしがない。
そんなこともあって、1時間近く前に当該診察室前に行く。案の定、呼び出し着信も無いまま30分以上早く「〇〇番さん、診察室△△へお入りください」


昨年は、主治医と世間話をしながら過去の手術の事や摘出した細胞(の写真)を見せて貰ったりして時間を過ごし、「いよいよあと1年だね」などと言っていた。


「これで終わりにして閉めるけど、んー?、これ、どうも気になる」
「3年前も見てみよう。あるね?」
「10年前も見てみよう、ヤッパリあるね。癌細胞とは関係ないから大丈夫」
と言いつつ、今日で全部閉めるが、どこか町場の病院で診察を受けているところがあればそこで観て貰って、何かあれば又来て、と言うことだったが、どうも気になるようで、Ⅰ年後見たいという。


それなら先生が見てください、他で見て貰うより良いでしょう、私もその方が良いです、と言うと、あと1年延長することになった。
1年先の予約は取れないので、そこは細工をして、Ⅰ年後又見て貰うことになった。


場所も、写っているものも、ガンとは関係ないようなので、心配は無し。
歳もとってきたし、改めて手続きする手間も面倒なので、好都合。

        



そういうわけで、見納めとはならなかった。