簡易電気スポット溶接

充電式バッテリーパック修理の際、充電池を繋ぐのにニッケルの0.1mm程度の板が使われている。
これを接続するには、ハンダ付けでは無く電気溶接が使われる。
バッテリーの電極内部は熱に弱く、ハンダ付けだと、充電式電池が異常を来すためである。


ニッカド電池や、イオンリチウム電池が複数パックになって使われ始めの頃は、自分で電気溶接など考えたことも無かったが、近頃は、安く手に入るので、自分でやる人が増えてきた。


先日DVカム用バッテリーパックを修理するのに、安いキットを購入して実際やってみた。
キットの内容、ターミナルは既に圧着してあった。基板とパターンと半導体は、初期製品とは違う物になっているようだ。取説は一切無し。

結果から言うと、瞬時電量が流せる内部抵抗の低い電源があれば、かなりお手軽に実現できる。

1380円で手に入れたキット。コンデンサーとブザーをハンダ付けするだけで完成する。裸では万が一と言うこともあるので簡単なボックスに収めた。

出回り始めの頃の基板には、外部スイッチや外部パイロットランプ用の引き出しランドがあったようだが、手に入れたものでは省略されている。そこでケースの蓋に3mmのアクリル棒を付けて基板の光を外に導くようにした。切り替えスイッチもμタイプでストロークが殆ど無いので、同じようにアクリル棒で押すようにし、こちらにはゴムカバーをした。

スイッチ長押しで電源オン、その後スイッチ長押しの度に1回から5回まで点滅し溶接強度が切り替わる。

最初に鉛シールドバッテリー50Aでやったのだが、一番強い5でやっても、殆ど付かない。
そこで、車のバッテリー75Aから直取りしてやってみると、強度4~5で何とか上手くいった。


コツとしては、溶接したい部分に隙間が出来ないよう片方の電極でしっかり抑え、もう片方は斜めに近くを抑える。一旦放電したあと電極を離すと、設定したパルスがカウントされ、スタンバイになる。


バッテリーにはCCA値というのが有って、古くなるとコレが低下する。規格があって測定器もあるが、
要するに、内部抵抗が低く瞬時電量が流せるバッテリーでないと、溶接も上手くいかない。
バッテリーの電気溶接では、大電流を長時間流す必要は無いので、充電式電池でも使える。
容量が無くてもエンジンが掛けられるエンジンスターターが有るが似たようなものである。


当然、DC安定化電源などでは全く歯が立たない。これを使って溶接が出来無いので低評価を付けている人が居るが、見当違いである。カタログにも瞬時電流が記されている。


以下カタログから引用
システム電圧:12V〜14.6V
動作電流:90A〜150A
推奨バッテリー(含まれていません):
良好な性能と低い内部抵抗を備えた20〜45ah鉛蓄電池
3.5〜5.5ah 45C3Sエアロモデリングリチウム電池パック
30〜35ah容量18650バッテリーパック
18650/26650/32650リチウム電池が適しています
以上引用


私の50A鉛バッテリーで上手くいかなかったのは、結構古くなっているためだと推測する。
測定器でCCAを測れば良いが、75Aで上手くいったので、わざわざ測定器を買うまでもない。
私の場合は、車の後部座席にバッテリー直のコネクターを設けてあるので、車でやれば簡単だが、机上でやりたい人は、バッテリー内蔵型が売っているので、やや高くなるがこちらを撰んだ方が得策である。バッテリーは軽くて高性能の物が出回っているので、用途によって撰ぶようにすれば良い。


カメラ用電源が上手くいったので、バッテリー式クリーナーもバラしてみた。
こちらは、ニッカド式で1.2vを10個シリーズにしてある。

ずいぶん本数が多いと思ったら


ダミーが入っておりコレで筐体に合わせてある。溶接はしっかり仕上がっている。 

コレもニッケル水素かリチウムにしようと思ったが、高性能機では無し、電池代で本体が買える値段なので、安いニッカドにした。すると、短いリブを溶接した物があったので、これを購入、リブ同士をハンダ付け出来るので溶接無しで仕上がった。+-が同じ方向を向いて付けてあるので-側を折り返してたたみ、+側を伸ばしてハンダ付けした。

+-の電極を真ん中辺りから出し、養生テープで形を整えて

元の通りに納めて出来上がり。こちらには制御回路は無し。


電動工具など、メーカーによっては、そっくり形が出来上がった物が売っているようなので、改めて面倒なことはしなくて済む。


後半、溶接と関係なくなってしまったが、キットに附属してきたニッケルの平板は0.1mm程度、これ以上厚い材料を使う場合、電源を更にしっかりした良いものにしないと上手くいかないと思う。