ロゼッタストーン

近年、CDが売れず、過去のものになったはずのLPが台頭、CDを逆転した、と言うニュースも耳新しいところではある。
アナログの復活は、カセットも含め、趣味の世界の現象だが、売上げではCDを超えた国もあるという。
一方で、売れなくなったCDに換わって、楽曲をダウンロードする様になったという話から、最近では、定額料金で聴き放題と言うサブスクなるものが、音楽に限らず幅をきかしているようである。
これは、映像の世界でも同様な現象が起きているようで、VHSやBETAの普及期は、テレビ番組を録画するものだったのが、レンタルで借りるようになり、やがてDVDへと変遷、テープから盤へと代わり、さらにハードディスクが安くなると録画機能がデッキからテレビに内蔵されていった。


そして映像は、ハイビジョンから4Kへと移っていく。ブルーレイが発売され簡単に高画質、長時間録画が録れるようになった。皆さんは今でもDVDやBDに録画しているのだろうか。
録画機を買った当初はお気に入りを番組をタイマーを駆使してせっせと盤では無くHDDに撮りためたが、そのうち子供たちが仕事で見られない番組を録るための専用になった。


撮りためた映像は、少なくとも私に関して言えば、まず見たことがない。
保存に夢中だった名画も、一時は安くなったDVDを買い集めたが、今では買うまでも無く、殆どが、配信で見ることが出来るようになった。古い名画もディジタルリニューアルとやらで、高画質で見ることが出来るようにもなった。見るとすれば家族や仲間の、他では手に入れることも出来ない記録くらいである。それもほぼ1,2回程度。何よりせっかく保存したDVDも、10年20年と経つと、再生不可能になるものが多く、これらの媒体は保存が効かない。便利に大量保存が出来るHDDも,もっと寿命は短いようである。


おそらく保存した物が役立つとすれば、50年後、100年後だろう。その頃には規格そのものが無くなるかも知れない。


映像機器が恐ろしいくらい安くなって、簡単に高画質の映像が誰でも撮れるようになり、Youtubeなどで公開する膨大な量の映像が見られるようになって、記録は、単に自分のために保存することより、他人に見せるために変化した部分が多いといえる。勿論自分のためにと言うことが無くなったわけでは無いが、この先どう変わってゆくのだろう。


電子帳簿などが義務化される昨今、はたして重要な記録はどう保存されるのか。
便利に電子化した映像や音など使うが、やはり「物」として持っていたい方だ。
電子データは保存を上手くやらないと、一瞬で消える。其れも容量に関係なくである。経験済である。
政府の公式記録など、当然対策はするだろうが、何しろ我が国は、保存は1年で破棄して良いなどと勝手に決めて、公式記録が残って無い事態が具現化する時代である。


結局どの媒体が一番長期保存が効くかと言えば、久しく言われてきたが、和紙に墨で書く、石に刻むことである。アナログの「レコード」は100年前の物でも再生が出来るが、紙は千年、石は万年。
数年前、電子「ロゼッタストーン」が開発されたという報道がされたが、その後どうなったかは知らない。




パナソニックが録画用機器の製造を1月下旬で止めた、というニュースが先日流れた。
板(盤)に記録する需要が激減したのが理由という。